笑顔

バンビ歯科  院長  森川富夫

先月の中旬に40代の初診の男性Aさんが来院されました。

歯茎の痛みを訴えられての来院です。

問診表には30年以上前に通院してたとの記載があります。

私がそのことを話す前にAさんは開口一番「先生!覚えていますか?私は覚えていますよ」

診察を始める前にマスクを外したAさんのお顔を凝視しても思い出せません。

しかしフルネームには微かな記憶があります、何回も通ってくれていたのでしょう。

「子供の頃歯が悪くずっとお世話になってました。

最近又地元に戻ってきましたので、今は教員をやってます」

患部を診てみると確かに歯肉に発赤があり軽い歯肉炎、一過性の症状で治まっていくはずです。

ただ前歯に神経をとった無髄の歯が二本あり、かなりの変色を本人も気にされており治す事になりました。

マスクの日常で、テレワークも進み人前で口元を見せない事もあり、仮歯を必要としない事もあります。

「マスクでの授業だし仮歯はなくてもいいかな?」「そんな~子供たちと給食をいっしょに食べますから必要です」

「そうかゴメンゴメン」と言いながら開始していきました。

何回かの通院の間、断片的ではありますが、教育現場の大変さを知る事ができました。

そして昨日が最終日でした。先週に装着した前歯のチェックです「どうでした?」

「調子いいですよ」と、ニッコリAさんの笑顔に突然30年前の彼の子供の頃の顔が思い出されました。

ウソのようなホントの話。

Aさんは「子供たちに話すネタができました」と喜んで診療室をでていかれました。

Aさん否A先生!子供達にこれからも素敵な笑顔をとどけてくださいね。頑張って!

しかしこのネタは私の方が先に使わさせてもらいます。