お兄ちゃん
バンビ歯科 院長 森川富夫
「お兄ちゃん今度はいつ帰るんだっけ?」
私は「……」と、思わず絶句。
電話の主はゴールデンウイークに会ったばかりの京都の「友人」です。
親同士が友人で、両家で、花見だ!海水浴だ!
と、事あるごとに、「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と私に懐いてくれました。
私が開業して間もない頃、当時工業系の大学一年生だった彼が、ふらりと遊びに来ました。
その表情は少し暗く、何か心の中に、もやもやしてる物があるみたいです。
彼は私が他の大学に一年通った後に、歯科大に入ったのを勿論知っています。
私は彼に診療所を見学さし、夜はお酒を飲みながら、「医療に携わることの素晴らしさ
、この仕事は清薫の方が俺より向いてるぞ」てな事を情熱的に話したみたいです
←彼の記憶です、私は酔っ払っていましたので。
そして彼は予想通り翌年歯学部を受け直し、見事合格しました。
その後会えば他愛もないない話の連続なのですが、そこはやはり同業
臨床での様々な話にもなりますし、最近では教えてもらう事が増えているような気がします。
先日も、歯科材料の違いを熱く私に話してくれます。
「そんな些細な事どうでもいい」とは思ったのですが、酔ってる彼の勢いに思わず
「ありがとう、今度使ってみるね」と言い、帰って早速業者に問い合わせました。
そんな矢先に彼からの冒頭の電話です。「……」
「清薫!あの時何回も言ったぞ!、8月○日!」そうでした彼は大酒飲みの、若干記憶喪失人間でした。
「お兄ちゃん」と呼んでくれる愛すべき「弟」ですが、
材料の件はもう一度自分で調べなおす事にします。