教科書
バンビ歯科 院長 森川富夫
昨年のこの時期「花粉症デビュー」の宣言をした私ですが、今年は何故か!スッキリです。
「院長のは単なる鼻風邪ですよ」と言ってたスタッフの言葉が正しかったみたいかな?
年を重ねると、治療もそれなりに難しくなってきますが、
患者さん達にも、我々術者にも、「幸い」な事もあります。
もう10年近くになりますが、ある患者さんが下の前歯の歯並びを気にして来院されました。
前歯6本がさまざま方向に向いてます。
若ければ「歯列矯正」ですが、歯質を削除して被せて「方向性を修正」する治療法しかありません。
「審美性」を重視すれば、各々の歯の削除量が変わり、中には大きく削除する「歯」もでてきます。
「神経」をとり「ファイバーコアなどの土台」で並行性を整え処置します。
が、「麻酔も嫌だし、まして神経は残したい」と患者さんが強く希望されます。
レントゲンを精査してみると、神経の管も若干細くなっており、適格に削っていけばぎりぎり神経を避けれそうです。
当日の朝は予め採っておいた患者さんの歯型とにらめっこ、
いかにして削っていくかのシュミレーションの繰り返し。
「過度の痛みがあれば麻酔をしますよ」と合意の上削り始めました。
結果、途中も全く痛みなしで無事に終了。今現在も良好です。
歯を抜く、神経をとる、もともと痛んでる歯を治療する、無論、麻酔下の処置は当然です。
ただ高齢の方で、この患者さんのように、少々削っても痛みはでない方も多々いらしゃいます。
歯の神経が石灰化しています、要するに詰まってますので。
例外は歯周病が進んでる方は駄目です、歯根の神経はかなり過敏です。
それ以来「麻酔なし」での処置も増えてきました。
くだんの患者さんの削る前と削った後の、まるで別人のような歯型は「宝物」のように
私の棚に飾ってあります。私にとっての「教科書」です。