あるがままに……
バンビ歯科 院長 森川富夫
新年明けましておめでとうございます。
お正月はのんびり過ごされましたか?
年頭に「今年こそは……」と思い、自分なりにささやかな誓いをたてた時期もありましたが、
ここ数年は淡々と新年を迎えています。
あるがまま、なせるがままの自然体を心がけています。
そんな日常の中、年々「ひしひしと伝わる思い」があります。
患者さん達の「一本の歯」に対する思い入れです。
数年前の事ですが、ある初老の患者さんが新年早々来院されました。
開口一番、真顔で「俺!夢見ちゃったよ」「どんな夢見たんですか?」
「歯が生えてきた夢、先生!生えてきてない?」と口を大きく開けられました。
「そんなバカな!」義歯を外して診てみると、前年と変わらない粘膜があるだけ。
「やっぱり生えてないか?」と患者さんはひどく落胆。
私はいつものように軽く切り返す事も出来ませんでした。
「噛む、噛める事」を前提に教育を受けた術者の我々と、受けての患者さん達との思いの違いを
痛いほど知らされました。
一本の「歯」を抜く?抜かない?の選択は我々の医療の常識だけでは計れない事です。
「あるがまま」も治療の一つの選択肢かもしれません、、無論、例外も多々ありますが。
「患者さん達に寄り添う医療を!」は恩師に言われ続けられた言葉ですが、
患者さん達の「一本の歯」に寄り添い続けられるように……
年頭の挨拶に代えまして。