梅酒
バンビ歯科 院長 森川富夫
先月ある患者さんから勇気と元気と「梅酒」をいただきました。
20年以上前から通院されてた患者さんで、昨年脳梗塞で倒れられた方です。
以前にこのコラムでも様々なエピソードで登場してもらっていた患者さんです。
「酒飲みに歯はいらねえから、先生!痛みだけ止めてくれ」
又新年早々「歯が生えてきた夢を見た、先生!そんな事あるのか?」
と、真顔で尋ねられたりもしました。
先月、御依頼を受け、往診にお伺いしました。
事前に奥様から「先生達の事忘れてるかも?」とお話を受けていましたが、
その患者さんを担当していたスタッフ共々自然に接したこともあり、断片的ですが
記憶が蘇ってきました。中断前のカルテ、レントゲンも手元にありますので、
治療に関しては全く問題なく進み、何とか噛めるように義歯を調整してその日は終了。
翌週の往診時、少し遅れるとの電話を入れると、ご本人様が出られ、まずその事に驚き、
訪ねるとお気に入りの野球帽を被り、はにかんだ笑顔でお出迎え。足取りも一週間で見違える程。
回復期、又ご本人の前向きになられる状態の時に、丁度我々の往診が手助けできたという
ベストなタイミングだったからでしょう。
又「在宅での往診は可能ならそれまでの主治医が診るのが一番」との再確認もできました。
帰り際、「俺もう飲めないから、これ飲んで」
と秘蔵の大量の「梅酒」をいただきました。「焦らず、こつこつと、そのうちにリハビリ兼ねて
診療所でお会いできたら」と願い、私もその日を待ち、少しづつ毎日美味しく頂いています。