安定剤

バンビ歯科 院長 森川富夫

先日までの雨が嘘のように今朝も晴れ渡っています。

天候の不順に身体が翻弄されています。

先日、お一人暮らしの女性宅に往診に行きました。

年末に義歯を壊され、新しく作成した患者さんです。

何回かの往診で、安定性のある義歯を完成する事は出来たのですが、

指先が少し不自由で着脱がうまくできません。

前回の往診では30分以上もの時間をかけ着脱を練習しました、工夫もしました。

さて今日は?と、帯同の衛生士と恐る恐るお邪魔したのですが、

その方は入れ歯を入れニッコリ笑われ「できますよ」と、明るくお出迎え。

「良かったです」

往診を含め、ご高齢者の方の入れ歯は教科書通りの設計ではうまくいかない場合が多々あります。

手や目の不自由さ、指先の力の衰え、支えの歯の動揺度……

以前は「入れ歯の安定は診療室内で完結、市販の安定剤を使ってもらうのは邪道だ!」と思っていました。

しかし現実はそうもいきません。抜きたくない、さりとて動揺している歯に支えは難しい。

又、比較的お若い方でも義歯の設計上、どうしても前歯に支えが必要で、針金を掛けざるをえない場合などは、

「毎日手間がかかりますが、ここに安定剤を小量つけるだけで針金なしですみますよ」と提案しています。

審美的に喜ばれます。残存歯の状態にもよりますが、市販の安定剤を積極的に勧めるのもありかと。

実際ドラッグストアには多くの安定剤が並んでいます、それだけ需要があるということでしょう。

しかし、安定剤を使うにも義歯が顎に合っているのが基本で、毎回ふき取るなどの衛生面にも注意が必要です。

大雨の中の往診でしたが、行き帰りとも小雨で義歯も良好、結果良しの一日でした。