「味覚の秋」

バンビ歯科  院長 森川富夫

スポーツの秋、読書の秋、味覚「食欲」の秋到来です。

と、言いたいところ、無心でスポーツを楽しめるのも、まだまだ先みたいです。

心地よい風を顔一杯に受けられるはずのこの季節なのですが……

マスクは装着続行ですね。

先週一人の患者さんが来院されました。

右上に違和感があって噛みにくいとの主訴です。拝見してみると、

確かに食べ物がつまっており、噛みにくそう、痛そうです。

又、本来あるはずの左下の義歯も入ってませんし、左上も詰め物が少し欠け、尖ってて痛そうです。

「義歯はどうされたんですか?」「三月頃無くしちゃって、ずっと右で噛んでました」

コロナ禍で来院するのも躊躇されたのでしょう。

可能な限り受診回数を少なくしなければ……

左下は今日型を採れば来週には入るし、左上は今日詰めたら終わり。

問題は主訴の右上。慢性的な食片圧入による虫歯があり、

レントゲンでもかなり深そうですが、神経は写ってません。

左の上下の処置が難なく終わり最後に主訴の右上。

処置中全く痛みがなく無麻酔下で処置ができました。

ご高齢の方の場合は神経の管が石灰化、詰まっていて、このような事は多々あります。

一応深い穴に保護剤を入れ一週間様子をみることにしました。

処置後の痛みだけが心配でした。

本日来院されたのですが、開口一番「先生!痛くなかったです」

私もホットして「良かったですね」と告げると、「先生がこの歯が痛み出したら大変だ、

と呟いてたのが、ずっと気になっていて……」

私が申し訳なかったです。「大変だ!」は術者測の問題で、

その方にとっては新たな処置になるだけで、歯の保存に何の問題もありません。

我々が発する言葉の重みを考えさせられた一日でした。

「不安な気持ちを抱かせて申し訳なかったですね、義歯もピッタリ入ったし

来週には型を採った右上も入り、それで左右で噛めるようになりますよ」

その言葉で患者さんは安堵され帰られました。

お口の中のトラブルをため込まないで、「味覚の秋」を存分に楽しみましょう。