食片圧入
バンビ歯科 院長 森川富夫
「おじさん!先日入れてもらった歯が痛むんだけど」電話の主は友人の息子からです。
彼の小学校時代から知っており、昨年に一児のパパとなった青年です。
神経の処置を行い、ジルコニアポーセレンを被せて終了してました。
来院してもらい診察してみると、神経の処置はレントゲンでは問題なし、ただ隣の歯との間の歯肉に
炎症があり、若干の咬合痛もあります。ゲージで隣とのコンタクトを調べてみると、やはり微妙な隙間
があります。食片圧入の典型的な状態です。
詰まりやすく、且つ清掃しにくい間隔が歯肉に一番ダメージを与えます。
厳密にいうと一ミリの十分の一くらいの隙間です。まさに彼の歯はその状態でした。
ちなみに歯医者さんで被せ物や義歯の高さを調べる時に赤い紙を噛みますね?あれが30ミクロン
一ミリのおおよそ30分の一です。
技工士さんが作ってくれる技巧物の仕上がりは若干高め、少しきつめが原則です。
それを我々歯科医師は口腔内で合わせていきます。
最初に入れた時、患者さんが「先生!ぴったりしています、入ってないみたいです」
と、満足げな時は、まずゆるくて、高さも低い失敗作で、それは作り直しです。
絶妙!のさじ加減で、気持ち高いかな?気持ちきついかな?でとめるところがポイントです。
彼のケースは昔話に花が咲き、「きつい、きつい」と言われるままに最後の詰めの段階で、
繊細さに欠けてました。反省です。
「外してやりかえようか?」「今日は今から仕事が入っているので次回にします」
その後連絡ないので、昨日電話すると「詰まりにくくなってきて、痛みもひいてきました」
との事でした。歯は微妙に移動します、「しばらく様子みましょう」
が結果的には正解でしたね。