春まだ遠し

バンビ歯科 院長 森川富夫

大寒の頃は暖かく、立春になって寒くなってきた一年の始まりです。

最近ふと昔の事が思い出されます。

仕事の事も、プライベートの事も、それだけ年を重ねてきたという事でしょう。

もう二十年以上前になります。

友人がご夫婦で来院しました、奥様は若い頃から口が開けづらい「顎関節症」でした。

これは①口を開けると痛みがある「開口痛」②口を開けると音がする「関節雑音」③口が開かない、開けづらい「開口障害」が主な症状です。

彼女は学生時代から歯医者通い、診てみると詰め物や被せ物でいっぱい、咬み合わせも少しずれています。

どうやら下の奥歯一本が深い虫歯でそこを避け咬まれていたようです。

口が開けづらい事は重々承知していましたが遠方からの来院でもあり通院回数をなるべく減らすためついつい時間がかかってしまいました。

「もう少しですよ、そのまま開けていて、頑張って!」

と励ましながら声をかけ続け神経の処置を無事に終了、と思いきや何やら様子が変です。

「ふがふがふが」顎が外れてしまいました。顎がはずれる「顎関節脱臼」は多くは大あくびの際などに起こりますが、ごく稀に歯の治療中にも起こる事があります。

彼女は私の事を信頼しているのか、はたまた状況がのみ込めないのかパニックにもならずただ「ふがふが」しているだけです。

逆に待合室で待っていた友人の方が異変に気づきおろおろし始めました。「大丈夫ですよ」と、むしろ遠くにいる友人に聞かせるように、大きく声をかけました。肩とかの脱臼と違い

顎の場合は一瞬驚きますが呼吸はできますから決してあわてない事です。

お互いに大きく深呼吸して無事に整復終了。

その後の治療で咬み合わせも改善されよく噛めるようになりました。

懐かしさもあり、思い出したのも何かの縁、週明けにでも連絡してみよう

全国各地で雪ですね、春まだ遠し。