彼岸まで

バンビ歯科 院長 森川富夫

三月も中旬にさしかかろうとしているのに、まだまだ寒い日が続いています。

今日も夕方から冷たい雨が降り、そして今はみぞれに変わってきました。

そんな寒い毎日ですが患者さん達は頑張って通って下さいます。

「義歯があたって痛い」「詰め物がとれた」等症状がある方、もしくは現在治療中の患者さんは当然と言えば当然なのですが、メンテナンスや口腔ケアで予約されているご高齢の患者さん達も来院されます。

「今日も寒いですね、お元気でしたか?」無理されなくてもいいですよ、という私の気持ちを察してか「家に閉じこもってばかりも嫌だし、ここに来れば暖かいのも分かっているし、予約もしたしね」感謝です、私も含め対応するスタッフも気合が入ります。

午後一番に女性の患者さんが息子さんに連れられ来院されました。

二か月振りの来院です。「入ってますか?」とお聞きすると、親子二人同時に「入ってますよ」と元気なお声。

その方は今までに二度義歯を無くされています。少々忘れんぼの患者さんです。

しかし前回の一月はお口の中に入っていました。

「よしこれで一安心」と思い、お口の中を診てみるとスタッフと同時に「アッ」上の前歯の義歯が見事にありません。

咀嚼に重要な下の大きい義歯はしっかりお口の中には入っていて、食事の時も使われていたのが分かります。

上の義歯は昨年末に審美性の回復に新たに作成した義歯です。

「私呑み込んじゃったかしら?」「絶対に大丈夫です、形態を考えましたから」

おそらく食事をするのには下の義歯があれば十分で、上の義歯は煩わしかったのでしょう。

その方には息子さんが二人おられ、ほぼ交互にお母さまを連れてこられます。

ここ何回かは弟さんで、お兄さんの方には上の義歯が入っているとは伝わってなかったみたいです。

その事を知ったお兄さんも大笑いで「家に連れ帰り、隅から隅まで探してみます」と、優しい笑顔。

「見つかればいいですね、お大事に」

大変だとは思いますが、何故かホッコリもしました。

暑さ寒さも彼岸まで!春はもうすぐそこに。