「関連痛」

バンビ歯科 院長 森川富夫

日ごとに日が短くなっていった先月中旬に一人の青年が来院しました。

昨夜右下に痛みがあったとの主訴です。本人が触れる歯はもとより、その前後の歯

も虫歯はなく、何の処置もされてない健全歯です。

少々汚れがついていたので清掃して様子をみる事にしました。

しかし翌日「昨夜又右下に痛みが、それも前日より…」と来院。

昨日と同じで、受診時には痛みはありません。エアーをかけても打診を与えても全く反応なし。

もしかして関連痛かな?関連痛「連関痛」とは歯科の場合、原因歯とは違う歯に痛みが投影される事をいいます。

以前にも深い虫歯の右上の歯を処置をしたら主訴の右下の歯の痛みが治まった患者さんもいました。

今回の青年の右上は治療されている歯はあるものの、レントゲンでも虫歯なし、刺激を与えても異常なし。

さて困った!原因歯が特定できません。

一応本人が主張する歯の前後に消炎作用のあるレーザーをかけ、念のため痛み止めを出しもう一度様子を

みることにしました。が、休日明けの診療日に電話がかかってきました。

「先生!昨夜あまりにも痛みがひどく、救急の歯科に行き神経をとってもらいました」

「えっ?」よく聞いてみると、夜間に何と前歯に激痛がはしり救急に駆け込んだとの事です。

数日後来院されましたが、右下に感じていた痛みも全くなくなってました。

以前に前歯には神経に近く虫歯が進み、神経の保護処置を行いレジンという詰め物をしていました。

しかしいくらなんでも上の前歯の痛みが下の奥の歯に投影されるとは!

救急の先生にはご迷惑をおかけしました。