賢いね

バンビ歯科 院長 森川富夫

 

 

娘の患者さんで二歳から通ってくれている男の子がいます。

小さな虫歯の処置やブラッシング指導をいつも楽しげにうけていました。

今は一年生です。

ある日「これ見て」と娘がその子のレントゲン写真を見せました。

「あれまあ~」前歯二本が生え換わっていますが、その二本の歯の根っこの間に

小さな歯があります。「正中埋伏過剰歯」です。

生え換わった二本の歯の隙間が開きっぱなしになっているのを「もしや?」と思い

撮った写真です。そのままにしておくと横の歯が生え換わって来ても永久に前歯の隙間

は開いたままです。骨の中に完全に埋まっている「歯」なので抜歯も大変です。

「可哀そうで、もう少し学年が進んでから」、と思われがちですが、横の歯が生え換わってくるこのタイミング

がベストです。

当医院は火曜日の午後は外科の先生が来てくれており、私と二人で診療を行っていますが、

その日は「私が寄り添う」と娘が言ってくれたので、これ幸いに彼女にお願いして、

私は早退して接骨院に行くことに。

翌日娘に「○○君どうだった?」「全く大丈夫、いい子にしてたよ、それよか△△先生が、オペ中

君は賢いね、賢いねを○○君に連発してた、関西ではそう言うんだ?」

外科の彼は大阪出身で、、私は京都出身、関西での「賢いね」の使い方が分かっていますし、

その言葉の意味も理解しています。

彼の主戦場である外科病院には、このような子達が日常茶飯事で一般歯科から送られてきており、

泣く子は無論、怖さからか中には暴れだす子もいるそうです。

幼小の頃から慣れ親しんだ空間で大人しく、いい子で処置を受けてくれてた○○君!

抜歯を行う先生もやり易く「賢いね、賢いね」の連発になったんでしょう。

翌日、消毒に来た彼に「○○君痛くない?偉かったね?」周りを見渡した彼は

「昨日の先生は?」と、さも残念そう。どうやら「賢いね」と言ってくれた

関西弁の外科の先生に興味大みたいです。